目の前にぶどうの実がなっている。

 

 

そうなんです。塩尻駅の3・4番線にはホームにぶどう棚があるのです。

この駅の中で比較的列車の数が少ないホームに作られたぶどう棚。

 

昔からその存在は知っていたけど、たわわに実ったぶどうを楽しめる時期に

こんな近くで見たのは初めてかも。

濃い紫と鮮やかな黄緑色の実が揺れている。

 

みんなで降りて撮影タイム。

 

松本山雅のユニフォームを着たサポーターも

名古屋のサポーターも降りてきた。

 

あれっ、いつの間に・・・。

 

 

出発する時に気付いたが、ぶどう棚は思ったよりも長かった。

車両の長さにして2~3両分はあった。

 

普通、こういう時ってメートルで説明するんですかね。

すみません、距離の感覚が全く無いんです。

 

実に有意義な「休憩」をして、いよいよ松本へラストスパート。

 

 

そろそろ本来の目的を見失いそうなところで、新宿から5時間。

14時ちょうどに松本駅へ到着。

 

 

まつもと~、まつもと~。

 

 

いつものアナウンスが響く。

これが松本に来る、最大の楽しみ。

 

味わい深い声なんです。機械だけど。

 

知りたい人は、調べてみてください。

たぶん、すぐ出てきます。

 

「鉄道音声遺産」があったら、真っ先に推薦します。

このアナウンスを変えたら、抗議します。

 

 

さて、この重い荷物をどうにか置きたい。

 

ホテルのチェックインは15時。

でも、それまで待つのも勿体無いなぁ。

 

 

気を利かせてホテルの人が

「よろしいですよ。もうチェックインして頂いて」

な~んて言ってくれないかなぁ。

 

とりあえず、駅から3分のホテルへ向かう。

 

 

フロントに行くと

「チェックインは15時からですが、荷物はお預かりしますよ。」

 

そうですよね。そうしましょう。

 

小分けに出来るバッグは持っていなかったので、

ビニール袋に入ったままのお墓参りセットと、お寺向けのお土産を預ける。

 

 

ふぅ~、身軽になった。

 

 

駅近くの喫茶店で、ココアフロートを注文。

アイスココアの上に、バニラアイス。大好きな組合せ。

 

落ち着く店の雰囲気。

間違ってもカフェではありません。喫茶店です。

 

 

ゆったりココアフロートを味わいながら、サッカーの資料を広げる。

 

ビジネスマン風に過ごしてみたかったんですが、

上に乗っていたバニラアイスが美味し過ぎて、1分で食べ切ってしまった。

 

やっぱり、僕にはビジネスマン風の行動は無理だった。

というか、ビジネスマンは「ココアフロート」とか頼まないか。

 

 

こういうお店で1時間くらいかけて仕事をするって出来ない。

なんだか「あいつ、嫌な客だなぁ」って思われている気がして。

 

周りが空いていても、出来ない。

「あいつさえ帰ったら休憩できるのに」って店員さんに思われている気がして。

 

結局、資料は見たけど滞在時間15分。

 

でも、ココアフロートはすごく美味しかったです。

次に来たら、また寄ります。

 

 

すぐ近くから松本山雅の本拠地「アルウィン」へのシャトルバスに乗る。

まだ試合開始まで4時間近くあるのに、緑色のレプリカユニフォームを来た

松本山雅のサポーターが列を作っている。

 

毎回、ここに来ると感動する。

世代が幅広い。

親子はもちろん、3世代のサポーターも珍しくない。

 

幼少期から親戚がこの近くに住んでいたので、松本は馴染み深い街だった。

その松本の街に、こんなパワーが隠れていたのか。

 

感慨深い。

 

そして頻繁に出発するシャトルバスは無料。

アルウィンまで30分かかる立地とはいえ、立派だと思う。

 

窓側の席に座ると、後から乗ってきた年配の男性が

 

「こちら、よろしいですか。失礼します!!」

 

と体育会系の見本のような挨拶で横に座った。

あまりの迫力に「は、はい・・・」としか言えなかった自分が悔しい。

 

気持ちの良い挨拶には、気持ちよく返したい。

 

30分ほどでアルウィンへ。

 

 

 

 

今年3度目の松本山雅の実況は、0-1。

猛攻を見せたけど、結局及ばなかった・・・残念。

勝ちたかったな。

 

でも、今年も楽しく中継出来ました。

ご縁を頂いた事に感謝・・・来年もご縁がありますように。

 

 

さぁて、ここからが問題。

帰りのシャトルバスで松本のホテルに戻るまでが、毎回ひと苦労なんです。

松本駅行きのバスは便数が多いけど、乗るまでに毎回1時間半近く待つ。

それだけの長い長い行列が出来る。

 

前回は、途中で諦めて「塩尻駅行き」の列に移ったら、少し早く帰れたんだっけ。

でも、塩尻から松本に向かう列車が、なかなか来なかった。

 

でも、せっかちな僕は、早くバスに乗りたい人なんです。

 

というわけで、今回は最初から「塩尻駅行き」のバス乗り場へ。

松本行きのバスは、今日も長蛇の列。

その横を抜けて、塩尻行きは・・・お~!人が少ないじゃん!

 

さっそく並ぶ。

目の前に止まっているバスに乗れるかと思ったが、10人ほど前で満員。

「この感じなら、次もすぐ来るだろう」と思いながら、見送る。

 

 

 

・・・・・来ないんだ、次のバスが。

駐車場には次々にバスが入って来るが、どんどんと「松本行き」の乗り場に向かう。

 

それはいい。松本行きの方が圧倒的に人は多いのだから。

他に、近くの駐車場までのシャトルバスもいる。

 

 

でも、10分経っても、20分経っても、塩尻行きの乗り場にバスは回って来ない。

1台くらい・・・1台くらい回しても良いんじゃない?

 

 

さらに30分経過。さすがに、みんなイライラしてきた。

しびれを切らせた人が、スタッフに尋ねている。

 

 

様子を見る限り「まだ分かりませんねぇ」みたいな会話になっているようだ。

 

 

そこにスタッフの上司っぽい人がやってきて、何か話し始めた。

すると、次に入ってきたバスが、こちらにやってきた。

 

 

はっ?!

 

そんなに簡単に・・・?

 

もう色々考えるのは止めた。イライラしても仕方ない。

これでホテルが近付いたのだ。晩ご飯が近付いたのだ。

 

ホッとしたらお腹が鳴った。

 

太ももを蚊に刺されているのに気付いた。急にかゆい。

 

 

結局、トータルで1時間待ってようやくシャトルバスが出発。

塩尻駅までは30分の道のりだ。

 

アルウィンの周りではいつも渋滞が激しい。

でも、バスに乗れたことで、気持ちが落ち着く。

 

 

 

後ろの席のカップルの話し声が聞こえてくる。

 

「え~?伊勢神宮に行った事無いの?今度行こうよ~。」

あれっ?まだ友達の関係なのかな。

 

「ねぇねぇ、まだ着かないのかなぁ~。お酒が抜けちゃうよ~」

はいはい、気持ちは分かるけどね~。

ちょっと声を小さくしても、隣りの女の子には聞こえると思うぞ。

 

「あっ、そうだ。心理テストやろうか?面白いんだよ~。」

心理テストは良いけど、その声の大きさだと、

テストを受けるのがバスの乗客全員になっちゃうぞ・・・。

 

 

それにしても、きょうは道が混んでいる。いつまで経っても渋滞を抜けない。

 

 

後ろから男性が歩いてきた。運転手に文句を言うのかな。

 

嫌だなぁ、密室の空間で。

 

「運転手さん、さっきの道で右に曲がった方が速かったんだよ。」

良かった、とりあえず穏やかな話しぶりだ。

 

「すみません、会社に言われて決まったルートしか走れないんですよ。」

ふ~ん、そういうものなのか。

まぁ、それぞれのバスが勝手な道を走ったら大変だもんね。

 

 

それから20分。おもむろに運転手がマイクを持つ。

「え~、先ほどのお客さん。前に来て頂けますか?」

 

 

何?今さら反撃?止めてよ~、バスの中でケンカとか・・・。

 

男性がやってくる。まだ山雅のユニフォームを着ている。

 

 

「すみません、会社の許可が取れたので、駅まで案内してもらって良いですか?」

 

へっ?!案内??

ていうか、最前列で聞いていたけど、そんな無線の会話、全く聞こえなかったぞ?!

 

 

確かに急に「塩尻行き」になったのかもしれないけど、それでも地元の道でしょ?

 

「どうぞ、そのガイドの席が引き出せますんで。」

 

観光バスのガイドさんが座る折りたたみ式の椅子に、なぜかサポーターが座る。

 

 

「次の交差点を右・・・」男性がテキパキと指示を始める。

渋滞を抜けて、少し細い道を走り始めた。

観光バスが通るサイズにしては不安だけど、とにかく道が空いている。

スイスイ行く。

 

「ほぉ~、そうなんですか~。」

いやいや、運転手さん、感心している場合じゃないって。

 

「このまま、塩尻に着くまで、そこにいてもらって良いですか?」

めっちゃ明るい声。

 

ツッコミどころが満載だけど、早く着いて欲しい気持ちに勝るものは無い。

サポーターさん、すみません。このバスの事を任せます。

 

 

「え~、何コレ?!いつ着くの~!!」

後ろのカップルは黙っていなさい。

 

 

それから30分ほど、一度も渋滞にはまる事無く、塩尻駅に到着。

サポーターさん、本当にお疲れさまでした!!

 

到着間際に運転手さんが一言。

「それで、いつもは塩尻駅のどの辺にバス止めています?」

マジか?!

 

 

結局、試合が終わってから2時間が経過。ようやく塩尻駅に到着。

 

松本行きの普通列車が、すぐにあった。

ホームに降りるが、出発する気配が無い。

 

「先に発車する特急が遅れているので、この列車も出発が遅れます。」

 

 

今度は列車か。

 

良いって。

もう驚かないって。

松本に着いてくれれば、充分だって。

 

 

松本に着いたら、夜の10時半になっていた。