日本橋駅異臭騒ぎ
2009年11月18日
普段、ニュースをお伝えする仕事をしている僕ですが、
時としてニュースの発生した「現場」に遭遇する事もあります。
今日は、まさにそんな事がありました。
今日の午後、僕は事務所での打ち合わせを終えて
表参道駅から地下鉄銀座線に乗っていました。
電車が途中の京橋駅に到着した際、電車の中で本を読んでいた僕は
降りるつもりだった、一つ先の日本橋駅と勘違いしてホームへ降りてしまったんです。
「あっ、しまった!ひと駅早かった!」と電車に戻ろうとしたんですが、
なんだか様子がおかしい・・・電車が出発する気配がないのです。
すると、車内にアナウンスが流れました。
「日本橋駅で車内に塩酸がまかれました。このまま運転を見合わせます。」
車内がざわつき、乗っていたうちの2割くらいの人がホームに降りました。
「塩酸がまかれた」という言葉に「テロ」という2文字が頭をよぎる。
京橋駅と日本橋駅が、それほど離れていない事を知っていた僕は、すぐに地上に出て
日本橋駅に向かいました。小走りで7〜8分。
予想と違って、日本橋駅の改札の中に入るのに、規制などはされていませんでした。
改札口には乗客が殺到していて、係員が対応に追われます。
そんな中、「銀座線は日本橋駅を通過して運転しています」のアナウンス。
このあたりで、塩酸のまかれたのが自分の乗っていた一つ前の電車で、
乗客の持っていた「工業用」の物がまかれたらしい、という事が分かってきました。
となると、故意にまかれたものでは無いのか?・・・とはいえ、まだ情報は錯綜しています。
しばらくして、サイレンの音が聞こえてきました。
次第に暗くなってきた日本橋交差点を囲むように、10台以上の
パトカーや消防車がサイレンを点けたまま止まっていました。
消防隊員の人が、次々に防護服を着てホームに降りていきます。
僕が日本橋駅に着いて10分以上経っていたので、異臭の発生からは30分以上が
経過していた事になるでしょうか。ホームへ降りる階段に、規制線が引かれました。
「現地対策本部」の幟が立てられ、緊張感が増していきます。
この頃になると、一方を聞いたであろうスチールカメラマンなどがやってきました。
僕も念のため、仕事で通っているTOKYO FMの報道へ電話をしましたが、
異臭騒ぎの詳しい情報は特にいらないとの事だったので、交通の乱れなどについて連絡しました。
一方、ホームからはビニール袋が・・・これに塩酸の入っていた瓶が入っていたのでしょうか。
そして異臭の発生から1時間が経過。テレビ各局のカメラクルーが続々と到着し、
消防の報道発表が行われました。この日記を書いている18:30時点では
4人が病院に搬送され、命に別状は無いとのことです。
日本橋駅は、僕も一週間に3〜4回は使う駅です。そんな駅で突然に遭遇した今回の騒ぎ。
事件性は無い模様(18:30現在)ですが、時間の経過と共に頭に浮かんだのは
地下鉄サリン事件でした。あの日もこんな状況で起きたのか。
今日の騒ぎは夕方の4時間でしたが、地下鉄サリン事件は朝のラッシュの時間帯。
その時、現場がどれほどの修羅場になったかは想像しても余りあります。
「危険物の持込みはご遠慮します」というアナウンスを常日頃の電車内で聞いていながら
いざこのような事が起きてみると、「持ち込めてしまう」怖さを感じずにはいられませんでした。