普段、ニュースをお伝えする仕事をしている僕ですが、

時としてニュースの発生した「現場」に遭遇する事もあります。

今日は、まさにそんな事がありました。

 

今日の午後、僕は事務所での打ち合わせを終えて

表参道駅から地下鉄銀座線に乗っていました。

 

電車が途中の京橋駅に到着した際、電車の中で本を読んでいた僕は

降りるつもりだった、一つ先の日本橋駅と勘違いしてホームへ降りてしまったんです。

「あっ、しまった!ひと駅早かった!」と電車に戻ろうとしたんですが、

なんだか様子がおかしい・・・電車が出発する気配がないのです。

すると、車内にアナウンスが流れました。

 

「日本橋駅で車内に塩酸がまかれました。このまま運転を見合わせます。」

 

車内がざわつき、乗っていたうちの2割くらいの人がホームに降りました。

「塩酸がまかれた」という言葉に「テロ」という2文字が頭をよぎる。

 

京橋駅と日本橋駅が、それほど離れていない事を知っていた僕は、すぐに地上に出て

日本橋駅に向かいました。小走りで7〜8分。

 

予想と違って、日本橋駅の改札の中に入るのに、規制などはされていませんでした。

 

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改札口には乗客が殺到していて、係員が対応に追われます。

そんな中、「銀座線は日本橋駅を通過して運転しています」のアナウンス。

このあたりで、塩酸のまかれたのが自分の乗っていた一つ前の電車で、

乗客の持っていた「工業用」の物がまかれたらしい、という事が分かってきました。

となると、故意にまかれたものでは無いのか?・・・とはいえ、まだ情報は錯綜しています。

しばらくして、サイレンの音が聞こえてきました。

 

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次第に暗くなってきた日本橋交差点を囲むように、10台以上の

パトカーや消防車がサイレンを点けたまま止まっていました。

消防隊員の人が、次々に防護服を着てホームに降りていきます。

 

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僕が日本橋駅に着いて10分以上経っていたので、異臭の発生からは30分以上が

経過していた事になるでしょうか。ホームへ降りる階段に、規制線が引かれました。

「現地対策本部」の幟が立てられ、緊張感が増していきます。

 

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この頃になると、一方を聞いたであろうスチールカメラマンなどがやってきました。

僕も念のため、仕事で通っているTOKYO FMの報道へ電話をしましたが、

異臭騒ぎの詳しい情報は特にいらないとの事だったので、交通の乱れなどについて連絡しました。

一方、ホームからはビニール袋が・・・これに塩酸の入っていた瓶が入っていたのでしょうか。

 

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そして異臭の発生から1時間が経過。テレビ各局のカメラクルーが続々と到着し、

消防の報道発表が行われました。この日記を書いている18:30時点では

4人が病院に搬送され、命に別状は無いとのことです。

 

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日本橋駅は、僕も一週間に3〜4回は使う駅です。そんな駅で突然に遭遇した今回の騒ぎ。

事件性は無い模様(18:30現在)ですが、時間の経過と共に頭に浮かんだのは

地下鉄サリン事件でした。あの日もこんな状況で起きたのか。

今日の騒ぎは夕方の4時間でしたが、地下鉄サリン事件は朝のラッシュの時間帯。

その時、現場がどれほどの修羅場になったかは想像しても余りあります。

 

「危険物の持込みはご遠慮します」というアナウンスを常日頃の電車内で聞いていながら

いざこのような事が起きてみると、「持ち込めてしまう」怖さを感じずにはいられませんでした。