僕のホームページのタイトルにもなっている「かたり職人」。

その「かたり」の神髄を、この週末、目の当たりにしてきました。

元NHKのフリーアナウンサーの皆さんが設立した「ことばの杜」

その2周年を記念した会「朗読で綴る太宰治の世界」です。

 

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今年、生誕100年を迎えた太宰治の作品を、

山根基世さん、広瀬修子さん、

そして「その時歴史が動いた」の名ナレーションが

記憶に新しい松平定知さんなど、

ベテランアナウンサーの皆さんが朗読する舞台。

 

話のあらすじを、同じく元NHKの宮本隆治さんが紹介し、

チェリストの柏木広樹さんが、それぞれの話からイメージして即興をします。

柏木さんといえば、映画「おくりびと」で主演の本木雅弘さんに

チェロの指導をしたことでも有名。・・・なんとも、豪華な会でした。

 

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この会の感想を、どういう風に表現したら良いんだろう・・・。

どのように記したら、感動が伝わるんだろう・・・とても難しいです。

 

とても「すごい」という簡単な言葉だけでは表現し切れませんでした。

 

まず「朗読」という世界の奥深さ。語り部が言葉を発すると、そこには

不思議なほどの情景が浮かぶのです。そして、観る者は話の世界に吸い込まれていく。

 

山根さんの読む「津軽」では、登場人物の感情が手に取るように伝わり、

松平さんの「人間失格」では、立ち直れないくらいのどん底に落ち、

広瀬さんの「富嶽百景」では、美しい山の頂が映る・・・でも、

「富士には月見草がよく似合う」は、実際に見た光景では無い、という話にビックリ。

月見草は太陽が昇るころには萎んでしまう。よって、その景色はフィクション!?

といった、ユニークな角度からの話が出たのは後半のトークショーでのこと。

 

最初は、アナウンサーの世界の大先輩である皆さんの朗読を勉強しよう!!と

意気込んで出かけていきましたが、終わってみると

太宰治の作品の面白さが、ただただ印象に残りました。

つまりは・・・それだけ聞く者に「届く」朗読を楽しませてもらったということ。

 

そして何より驚いたのは、家に帰ってからでした。

映画よりも舞台よりもコンサートよりも、素晴らしい朗読を聞いた余韻が

もっともっと長く続く事に気付かされました。

こんなに穏やかな気持ちで床に就いたのは久しぶり。

自分たちの仕事である「ことば」「かたり」の素晴らしさを

改めて教えて頂きました。次回の公演も、ぜひ行こうと思います。