昨日、仕事先のTOKYO FMで、お世話になっている

フリーアナウンサーの中村勉さんに、2冊の本を見せて頂きました。

中村さんが僕のブログを見て、わざわざ持ってきて下さった本。

「青春と読書」という、読書情報誌。恥ずかしながら、今まで知りませんでした。

 

ここにある8月号には「新連載 筑紫哲也 若き友人への手紙」とあります。

しかし、その連載は1回目の2008年8月号と、

ひと月空いた10月号の2回目で止まっています。

その翌月、筑紫さんは、この世を去りました。もう半年になるんですね・・・。

 

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さっそく内容をコピーさせてもらって読んでみました。

 

まず驚いたのは、筑紫さんの文章が語りかけるように柔らかく、

とにかく分かりやすく書かれています。易しい表現なのです。

 

それはタイトルにあるように、これからの社会を担う

「若い未知の友人」にむけて書かれているから。

 

そんな筑紫さんからの「手紙」は、決して何かをしろ、と

説教じみた内容ではありません。むしろ、「近ごろの若い者」が

あまりにも優しくナイーブなために、回りの大人の評価に振り回され

自分を見失うことを憂えているのです。

そして、日常の若者言葉や、凶悪犯罪に走ることなど、

その中に「人を傷つけ自分が傷つくことを恐れる」という深層心理から

静かに問いかけています。難しい事柄を分かりやすく言うのが

最も困難であることは、この世界でイヤというほど感じます。

ごまかしが効かないんですよね。

 

残念ながら、「手紙」の中の本当の「伝えたいこと」には至らないまま

わずか2回の連載で終わってしまったのですが、この連載の中から

今までの筑紫さんの姿が色々と思い出されてきます。

 

とにかく、筑紫さんは若者との距離が近い人でした。

私も学生時代に講演を聴きに行った事があるのですが、

予定の時間を超えて、多くの人の質問に

丁寧に丁寧に答えていたのが印象的です。

そして「NEWS23」の中でも、外国の首脳を迎えた時には

一般市民との対話企画で高校生らの意見を積極的に聞き、

自分自身も企画で若者文化を楽しむかのように取材をされていました。

 

そういえば・・・僕の大切な本の1冊である「報道戦争」(大下英治:著)の中で

NEWS23の初代サブキャスターである浜尾朱美さんと筑紫さんとの

エピソードが書かれていたのを思い出しました。

どんな若い人に対しても、同じ高さまで降りてきてくれる筑紫さんは

回りのどんなくだらない質問にも、気軽に、しかも多角的な答えを

返してくれたそうです。そして、こんな一文があります。

 

「筑紫は、よく子供から手を振られるという。

浜尾も、筑紫が子供に手を振り返しているのを見たことがある。

子供受けするニュースキャスターが、日本に何人いるだろう。」

 

子供たち、そして学生さんに分かりやすく「今」を伝え、

そして「これから」を伝える。

 

筑紫さんから学ぶ事は、まだまだ・・・まだ、あります。