伝説のスポーツ本
2009年04月12日
スポーツの取材をしていると、色々なドラマに出会います。
それは試合の中であったり、選手自身であったり・・・。
そんなドラマを伝えるのも僕の役割なのですが、
その「伝え方」に悩んだときに、いつも読み返す本があります。
ノンフィクション作家、故・山際淳司さんの本
第8回日本ノンフィクション賞受賞作
「スローカーブを、もう一球」
8編が収録された中には、あの名作「江夏の21球」もあります。
日本シリーズでの歴史的な場面を1球ずつ切り、
その豊かな感性と豊富な取材で鮮やかに表現されている作品。
読んでいる文字の中に、スタジアムの興奮が蘇ります。
また、山際さんの作品は、無名のスポーツ選手や高校野球の地方大会といった、
新聞に小さく載るかどうかという物語も登場します。
そして、そのターニングポイントである場面に対し、時系列に述べるだけでなく
そこに至るまでの過程、後に登場人物から聞いた心境を織り交ぜながら
多角的に描き出すことで、見ている者を魅了する作品の数々。
僕が山際さんの事を知ったのは、若くして病に倒れる少し前、
スポーツニュースのキャスターとしての姿でした。
惜しかったなあ、と今でも強く思うのですが、
名作の数々は今でも輝きを失っていません。