筑紫哲也さん
2008年11月07日
今まで、たくさんのブログを書いてきましたが、
今回は、どのように文章を進めて良いのか分かりません。
TBS「NEWS23」のキャスターを20年近くも務めた、
筑紫哲也さんがお亡くなりになりました。73歳。
僕はこのニュースをTBSの夕方の番組「イブニング5」で知りました。
本来だと、この時間はまだ外にいるはずだったのですが、予定が早まり
この時間にテレビをつけていて、訃報に接したのです。
その時のショック。自分の体から力が抜けていく感覚に襲われました。
僕が筑紫さんの事を最初に知ったのは、確か中学生の頃。
まだ「NEWS23」が始まったばかりの頃です。当時の僕は
少しずつマスコミの仕事に興味を覚え始めていて、
ニュースの内容が分からないにも関わらず、背伸びをしたい一心で
連日「NEWS23」を見ていました。しかも当時は、番組が
23:00〜23:50の1部「ニュースとスポーツ」
23:50〜24:30の2部「ゲストを呼んでの特集・トークコーナー」のように
なっていて、眠い目をこすって2部まで見ていたものです。
また、僕の祖父が朝日新聞の記者だったこともあり、小さい頃に
朝日新聞の社屋で、筑紫さんにお会いしたこともありました。
そして、この仕事を初めて間もない頃、一度だけ筑紫さんの講演を聞きに行きました。
その時の話で印象に残っているのは、アメリカの9・11、同時多発テロの話。
「歴史に残る大きなニュースは、そのニュースに接したときに、自分が何をしていたかを
それぞれの人が覚えている」というお話でした。
それと、筑紫さんがエンディングで必ずおっしゃった言葉
「今日はこんなところです」
この言葉が、アメリカCBSテレビでアンカーマンとして活躍した
クロンカイト氏の決め台詞で、クロンカイト氏を目標に、筑紫さんが
キャスターを始めた事を、何冊かの本で知りました。
このクロンカイト氏は、自分のニュース番組ではほとんどコメントをせず、
淡々とニュースを伝え続け、最後に「今日はこんなところです」と言って
締めていたそうです。それでも、クロンカイト氏が、視聴者から絶大な信頼を得たのは
番組の編集権・つまり編集長の役割をクロンカイト氏が持っていたから。
そして、筑紫さんも「筑紫哲也NEWS23」という冠の通りに、ご自分が
ニュースの編集権を持たれていたそうです。
そして、クロンカイト氏はベトナム戦争の時、ついに
「アメリカはこの戦争から足を洗うべきだ」と、伝家の宝刀を抜き、
驚いた当時のジョンソン大統領が、次期大統領選への不出馬を表明したという話。
筑紫さんは、クロンカイト氏よりは積極的にご自分の意見をお話されていたと思います。
その中で「多事争論」というコーナーも生まれました。そして、TBSが危機にさらされた
証券会社の損失補填問題、そしてオウム真理教のビデオ問題では、番組が自ら
真相の解明に厳しい姿勢で取り組むことで、番組を守ってきました。
そしてきょう、アメリカ大統領選挙を見届けて、天国へ旅立たれました。
まさに生涯現役でジャーナリストとしての道を駆け抜けた筑紫さん。
僕を含め、多くの人にジャーナリストとしての姿を教えて下さいました。
本当にお疲れさまでした。心より、ご冥福をお祈り致します。