久和ひとみさん
2011年02月19日
様々な物が便利になる中で、なかなかそれを使いこなせていない僕ですが、
便利になって良かったと思うことの中に、ネット通販で本を探せる、というのがあります。
「この人に関する本が読みたい」と思って本屋さんで探してもらうと、大抵は
「出版元にも残っていません」と言われる事が多いのです。
でもネット通販で調べると、必ずと言って良いほど、そんな本が見つかる。
・・・前置きが長くなりましたが、そんな経緯で読みたかった本を手に入れ、読む事ができました。
ニュースキャスターの久和ひとみさんを、覚えていますか?
僕の印象では、「JNN ニュースの森」のキャスター、
そして「TXN ニュースアイ」のキャスター、という印象です。
先日ふと、久和さんについての本が読みたくなり、3冊を読みました。
久和さんがアナウンサー出身では無い事を、僕はこの本で知りました。
アナウンサー受験に失敗、しかしCNNの番組のキャスターオーディションに合格し
そこからニュースキャスターとして走り続け、40歳の若さでこの世を去った久和さん。
僕が番組を見ていて持った久和さんのイメージは、沈着冷静そのもの。
でも本に出てくる様々なエピソードからは、もっと人間味に溢れた「おちゃめ」な、
それでいて、何事にも一生懸命な久和さんの人柄が伝わってきます。
学生時代から市民運動に力を入れ、その中で、ある政治家の選挙運動を手伝い
そこから「世の中を良くしたい」という思いを力にしていった久和さん。
その政治家は今の総理大臣。このところの、窮地に追いつめられている状況を見て
久和さんが生きていたら、どのように感じたんだろう。
そんな市民運動を共にした「戦友」である下村健一さんの弔辞が
本の中で紹介されています。久和さんの、キャスターとしてだけではない
「真っ直ぐさ」が、ユーモアを交えて温かく語られていて、それがかえって涙を誘います。
久和さんが去って、あと半月でちょうど10年。もう、そんなに経つんだ・・・と驚くと同時に
この時期に久和さんの本を読もうと思い立った偶然にも、不思議な縁を感じました。
筑紫哲也さんは、帯の中で「これからはニュースキャスター志望者が現れたら
まずこれを読みなさいと私はすすめる」と書いています。
この言葉の「ニュースキャスター」を、更に広げて「伝え手」とも
言えるのではないかと思います。我が家の本棚に残し続けて行くであろう本が
また増えました。