志ん五師匠
2010年10月06日
先週、訃報に接した。
古今亭志ん五師匠。
故・古今亭志ん朝さんの最初の弟子として入門し、
与太郎噺が人気だった志ん五さん。
61歳。まだまだ、これからの人だ。
僕の本棚にある本の中から、志ん五さんの出てくる本を探してみた。
「よってたかって古今亭志ん朝」(文藝春秋刊)
直弟子たちが師匠の素顔を語り合った本。
もう6年も前になる。
僕がチバテレで「浅草お茶の間寄席」という落語の番組を担当し始めた頃。
インタビューもまともに出来ない僕が、志ん五師匠の楽屋に伺った。
恐持ての師匠のところへ行くとあってビクビクしていた僕に、
『何聞いても良いし、話のオチに使っても良いから。気を遣うことなんかないよっ』と
気さくに話してくれて、どんなに気が楽になった事か・・・。
確かその時は、志ん五師匠の好きな食べ物を
師匠の口いっぱいに頬張らせて番組のタイトルコール!!
そんな無茶な事も、快く引き受けてくれた。
先月の始め、浅草演芸ホールのスタッフさんと飲んだ時、
志ん五師匠が立ち上がれない状態で高座に出た話を聞いた。
確かに心配はしていたが、ここまで悪いとは思ってもいなかった。
写真集「おあとがよろしいようで」(写真:橘 蓮二)講談社文庫
浅草演芸ホールで、師匠がわざと脅しをかけるようにお客さんに話す、いつものセリフ。
「気を確かに持って、最後までお付き合い下さいよ。
今まで統計をとっているんですが、私がそう言ったのに途中で帰った人のうち
92%が帰り道で不慮の事故に・・・」
気難しそうなキャラクターでお客さんを笑わせるのに、笑顔は本当に温かい人だった。
ふと思い立って、ホームページを見てみた。
10月3日更新
トップページには、
「最期までご贔屓にありがとうございました
またたくさんの温かいお言葉をありがとうございます
深く感謝いたしております」とあった。
余計に悲しみがこみ上げてきた。
志ん五師匠、長い間お疲れさまでした。
そして、ありがとうございました。
心からご冥福をお祈りします。