先週、訃報に接した。

古今亭志ん五師匠。

 

故・古今亭志ん朝さんの最初の弟子として入門し、

与太郎噺が人気だった志ん五さん。

61歳。まだまだ、これからの人だ。

 

僕の本棚にある本の中から、志ん五さんの出てくる本を探してみた。

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「よってたかって古今亭志ん朝」(文藝春秋刊)

直弟子たちが師匠の素顔を語り合った本。

 

 

もう6年も前になる。

僕がチバテレで「浅草お茶の間寄席」という落語の番組を担当し始めた頃。

インタビューもまともに出来ない僕が、志ん五師匠の楽屋に伺った。

 

恐持ての師匠のところへ行くとあってビクビクしていた僕に、

『何聞いても良いし、話のオチに使っても良いから。気を遣うことなんかないよっ』と

気さくに話してくれて、どんなに気が楽になった事か・・・。

 

確かその時は、志ん五師匠の好きな食べ物を

師匠の口いっぱいに頬張らせて番組のタイトルコール!!

そんな無茶な事も、快く引き受けてくれた。

 

 

先月の始め、浅草演芸ホールのスタッフさんと飲んだ時、

志ん五師匠が立ち上がれない状態で高座に出た話を聞いた。

確かに心配はしていたが、ここまで悪いとは思ってもいなかった。

 

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写真集「おあとがよろしいようで」(写真:橘 蓮二)講談社文庫

 

 

浅草演芸ホールで、師匠がわざと脅しをかけるようにお客さんに話す、いつものセリフ。

「気を確かに持って、最後までお付き合い下さいよ。

今まで統計をとっているんですが、私がそう言ったのに途中で帰った人のうち

92%が帰り道で不慮の事故に・・・」 

気難しそうなキャラクターでお客さんを笑わせるのに、笑顔は本当に温かい人だった。

 

ふと思い立って、ホームページを見てみた。

 

10月3日更新

 

トップページには、

 

「最期までご贔屓にありがとうございました

またたくさんの温かいお言葉をありがとうございます

深く感謝いたしております」とあった。

 

余計に悲しみがこみ上げてきた。

 

志ん五師匠、長い間お疲れさまでした。

そして、ありがとうございました。

心からご冥福をお祈りします。