日頃のニュースではなかなか報道されませんが、いま、

言論や表現の自由を奪いかねない法的規制の動きが進んでいます。

個人情報を問題にして人権救済を、という理由付けの向こう側に

「メディア」に対する権力の押さえつけが見える、この問題は

我々にとって脅威にも感じられることです。このところ、

そういった問題を取り上げたシンポジウムも多く行われています。

その中の1つをまとめた本を読みました。

『メディアの内と外 〜ジャーナリストと市民の壁を超えて〜』

 

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この本は、原寿雄さん、筑紫哲也さんという、2人のベテランジャーナリストの講演と、

大谷昭宏さんが進行を務めたディスカッションの2部構成になっています。

 

特にディスカッションの中では、4人のジャーナリストの方が

取材の場でぶつかってきた組織や法律の壁、つまり

自分が取材したいものを取材し、放送したり掲載したりするまでに

どれだけの障害があるかが述べられています。

 

特に政治の世界で言えば、記者クラブ制度のように

取材する側とされる側、あるいはメディアの横の連帯間の問題によって

自由な取材が出来ない事が多々あります。そこに個人情報保護法などの

更なる問題がのしかかってきます。

 

この本を読んでいると、それぞれがジャーナリストとしての葛藤を

常に抱えて活動していることがよく分かります。組織の中にいる場合は

立場も含めた、ある意味での「特権」を持って取材が出来る面と、

それによって自分の言いたい事がそのまま伝えられない弊害がある。

逆にフリーであれば、取材対象にたどり着くまでの壁が遙かに多くなる。

その中で落ち込み、悩みながら仕事をしているんだという事を実感しました。

 

送り手側だけでなく、これからは視聴者の側も伝え手になりうる時代。

もっともっと多くの人が話し合いの場を持つ必要があると思います。

こういったシンポジウムに、僕も更に多く足を運んでみようと思います。